ワインの味覚と相性      ▲メニューに戻る

 おいしい食べ物というのは、甘いだけでも、塩辛いだけでも、ダシ味だけでも、酸っぱいだけでも、もちろん苦いだけの味なんて絶対成り立ちません。そして、相性とは、一体どんなものでしょうか?


簡単には答えられませんが相対するものの価値を引き立て合ったり、壊し合ったりする関係を言うのではないでしょうか。


100%の定義になっていないかも知れませんが、ワインと料理の相性とは、この程度でいいと思われます。しかし、この程度と言いましたが、実は、たくさんの相性法があるのです。大きく分けて、対比効果、相乗効果、抑制効果、変換効果この四つが相性の妙を作り出す手段であり、プロのソムリエのテクニックです。


二つ以上の味覚を混合する場合には、同時に混合する物や、別々に味わいを対比させる場合があります。ワインと料理の場合はどちらかが口の中に有る時はその片方は、テーブルの上に有るのです。同時に口の中に入れて美味しさを味わうことは本来人間の舌では難しく出来ています。食べ物と飲み物が同時に美味しさを伝える場合は、それらのもっている味覚が比較的シンプルで、対比させ易い、糖と塩、酸と糖、この組み合わせのような場合だけです。それ以外には、同時に味わう場合の変換効果があげられますが、これもごく稀で、クリームと酸。これは全く違った味わいにさせる手段です。ソースで言うマヨネーズやサバイヨンです。料理によっては何らかの形で違った味覚ができあがるかも知れませんが、かなり一般論からずれたものとなるため個人的な解釈の嗜好性が強い可能性があり、プロが用いるかどうかは分かりません。なぜならそれらは、別々に味わったときには美味しくないかもしれないからです。


したがって大半が別々に対比する形が好ましいのです。先程シンプルな組み合わせは容易だと言いましたが、次のようなデータが出ています。

テーマ‘甘さを楽しむ’
砂糖20パーセントの溶液 約20BRIXのジュースに匹敵。


甘みの順位 

感じる甘さの順位 6 5 3 1 2 4 7 8
食塩添加量% 0 0.1 0.3 0.5 0.7 1.0 1.2 1.5

この結果から、対比させればよいかというものではない事が分かりました。文字通り塩梅とはこのことです。参考のために以下のような混合効果を明記しておきます。

        甘味と塩味(スイカと食塩)
対比効果  旨味と塩味(出し汁と食塩)
        苦味と酸 (アルコールと柑橘頻)


抑制効果  甘味と苦味(コーヒーと砂糖)


打ち消し   甘味と酸味(グレープ・フルーツと砂糖)
        酸味と脂肪分(ワインとチーズ)


相乗効果  甘味と甘味(砂糖と蜂蜜)
        旨味と旨味(昆布とカツオだし)

 それでは、具体的にワインがどれだけの味の幅を持っているかを学びます。
そして、我々日本人がふだん食べ慣れている和食を例にしてワインの持つ味の幅を照らし合わしてみましょう。


☆甘さ

例えば 煮付けに使用するミリンの甘さは、1リッター当たり150〜200グラムの糖分を含んでいますが、ワインは1リッター当たり2〜280グラムまでの糖分を含んだものがあります。しかも大半の味醂の糖分は庶糖が成分とされますが、ワインの場合薦糖よりも約1.6倍も甘い果糖が成分とされます。
ちなみに一般に市販されているブドウジュースは1リッター当たり90〜130グラム前後のものがほとんどで、酸度にもよりますが、130グラムを境に甘さのブレークがはじまります。この値は、180CCのテイ・カップの紅茶に6グラムの大きめのスティックシュガーのグラニュー糖を入れたとします。これをリッター当たりの糖分に直すと僅か33.33グラムとなります。


単純にその糖分の3倍の量ですが、実際には、その1.6倍の甘さを示したものです。ですからジュースの甘さがこれ程甘いにもかかわらずとても美味しく水々しく飲むことのできるのは、酸と甘さのバランスが取れているからです。ワインの甘口の中には、確実にこの倍は甘いものがあり、そして、これらがワインになる前の果汁(ジュース)の時点では、アルコールに変わる前の糖分、200グラムがプラスされます。1リッター当たり400グラムの糖分を持つジュース、いや液体などは、どれだけ甘いかは想像できません。恐らく、果糖をスプーンですくってそのまま口に入れたものとさほど変わらないことでしょう。

☆辛さ 香辛料的刺激

これだけは、ワインの味の中に見つけることが難しい味覚です。ただし、まったくない訳ではありません。除梗せずに醸した若い赤ワインや腐敗した果実の混入したもの、火山灰や溶岩土などで育ったブドウにごく稀に見られます。この他に品種にもよりますがフェノールやカテキン顆を多く含んだブドウに若干感じられることがあります。ただし、こう言った味のするワインはあまりいい評価を得られません。やはりワインの世界では、刺激味は料理でもワインでも味を壊すものと考えます。その部分においては、大変デリケートなものなのです。しかし香りにおいては、まさに香辛料そのものの香りがするのがワインです。グラスから立ち込める香りに関しては、はとんどのスパイスの香りを奏でることができます。そして、その香りが複雑であればあるほどよいワインだと言えましょう。


☆塩辛さ

これは、植えられていた土壌によりゴクゴク微量に塩化ナトリュウムが果汁の中に含まれることがありますが、殆どは、醸造に使われる卵白やタンパク質から解け出します。非常に稀ですが、ワインによっては多く含まれている窒素成分と相侯ってかなり塩辛く感じるものまであります。この感覚は酸の多い少ないによっても違い、比較的酸の弱いものに多く感じられます。ちょうど一流料亭の品の良い塩を押さえたお澄ましの様な塩の感じ方に似ています。自ワインよりも赤ワインに見うけられる現象です。



☆酸

これこそがワインの味覚を形成する重要なファクターです。果実酸と呼ばれる数種類の酸と、その他にも多くの種薪の有機酸をワインは保有しています。代表的な果実酸は、リンゴ酸、クエン酸、ビタミンC(アスコルビン酸)酒石酸で、醸造によって作られた有機酸は、乳酸、酢酸、グルコン酸、、コハク酸となります。アミノ酸は、果汁内にも存在しますし、酵母菌の代謝によっても増加するものもあります。ここでとても重要なキーポイントがあります。果実酸と呼ばれている酸たちは、冷やすと美味しく、暖めると収敏性を帯びてくることが特徴です。それとは逆に髄造によって作り出された酸たちは、比較的高い温度(ワインにとって高い温度とは、17〜22度が範朗。)で美味しく、それ月下ではこれも刺激的な酸となり、好ましくありません。ワインの中に含まれている酸は、大抵の和食に使われる酸を持っています。梅やカボスのクエン酸、酢の物の酢酸、醤油の乳酸、この他に牡蛎の旨味のコハク酸等いろいろと味の決め手となる酸を含んでいます。


このようにワインに含まれる酸は、熟成とともに色々と変化をなしていきます。まだ若いワインのうちは、大変、酸の刺激の強い感じ方をしたり、また実際に特定の果実酸が値として十分その形を示したまま残っていたりしますが、多くの有機酸(カルポン酸、オキソ酸)は特にアルコールや乳酸などと結び付きやすく減少したりしますし、時が経つにつれエステル反応により和らいでいったりします。

☆旨味

高級ワインであるかそうでないかはこの部分で大きく決まります。いくらしっかりとしたアルコールと酸と糖分をバランス良い値で確保されていてもこの旨味がなければ、うすっペらいワインにしかなりません。高級で偉大と呼ばれるワインはこの部分がワインにとても良い肉付けをしているのです。それでは、具体的に例をあげてみましょう。無味無臭無色の純粋アルコールにクエン酸、乳酸、酢酸をワインに含まれていだけの量(ものすごく微量です。)加えて、最後にこれも僅かな糖分を加えます。分かりにくければ、次のような欧み物を想像してください。ティカップに100CCの水、レモン1/5の搾り汁、お酢2滴、ヨーグルト耳かき2杯、砂糖耳かき2杯、最後に50度のウォッカを40CC加えた物がおおざっぱなワインの成分に匹敵します。想像して見てください。こちらの万が分かりやすいはずです・・・・・。


しかし、これは間違いなく美味しくありません。先程も.述べていますが、お湯に塩を入れるだけでは美味しい吸い物はできないのと同じように、ワインにもこれと良く似た旨味の役を果たす物が有ります。アミノ酸(アスパラギン酸、プロリン、アラニン)グリセリン、ペクチン、アルデヒドetc これらが含まれることにより、実に豊かな飲み物として生まれ変わります。またこれも異常に多かったりすると粘性が強くなんだかクドく切れの悪いワインになります。

☆苦味、渋味

これもまた重要な味覚の中の一つで、苦味や渋味等は無くてもいいんじゃないかと思われますが、実際には、無くてはならないものなのです。例えば、上のようなコクのある物には、酸や渋味が有ることにより、味の輪郭が出来て厚みが有っても酸や渋味が心地よいものとしてくれます。色素となるアントシアンを含めて、ポリフェノールは、タンニンやリグニン、カテキン等からによります。線の和え物等の苦味は、カテキン等によるもので、ゴマや味噌のクドさを打ち消すものになっています。


 以上のような味のファクターがあり、こんなに色々の味をもつワインは、組み合わせがうまく合った時はどんなお酒よりも美味しく、料理もワインもよりいっそう美味しくなります。


これをフランスではマリアージュ(mariage=結婚)と呼んでおります。さあ、ここからは皆さんの経験が必要となりますが、簡単な6つの注音事項をお伝えします。まずは、

1.このワインのアタックは、柔らかか、逆に強いものか、(気泡の有無も)
2.このワインの残糖分は、多いか少ないか、そして酸に対してどの程度のものなのか
3.このワインの酸は、冷やすと美味しい酸か、暖めると美味しい酸かどうか、
4.このワインのボディは、コクは軽く短い切れのものか、重くしっかりとした余韻のあるものか官能の時間を調べます。
5.このワインの香りと料理の香りと共通性や関連性はあるか
6.食べ物の固さ岨噛の回数と飲み込むまでの時間を4と比較します。

 これら要点がつかめ、関連性が思い浮かべられるようになれば、マリアージュのコツの8割は把握できます。実際これらの官能が身につくようになるには、人にもよりますが大体、500種1000リッター前後を経験すればおばろげですが分かるようになります。もっとも官能に優れた人がつぶさに教えてくれるような場合はもう少し早くなります。例えば、皆さんの中で、ソムリエを目指したいと考える方がいらしたら、プロの最も入り口で、1000種 10000リッターは必要でしょう。


これは一見膨大な数のようですが、プロの買い付けなどでは、一日に50〜100種は、利き酒をしますし、また、試飲会などでも10〜30種は出て釆ますから、それほど多くの日にちはかかりません。何事も−一長一短では成りませんが、楽しみながら真剣に進んで行けば、遅い人でも2・3年で達成できます。ただ、やたら種頻を多く飲むよりもある程度好きな銘柄とか、好きな年を4・5回に1回は入れられた方がより理解が早くできます。


何よりもセンスある人や官能力が優れた人と飲む機会を作ることです。誰もが最初はビギナーなのですから、先輩やソムリエや専門家に正しい知識とノウハウを戴き自分なりでも結構ですから、整理して考えましょう。それが出来るようになると後は、自然と何も考えなくてもワインや料理が浮かんでくるようになります。それでは、どうしてこの6つ注意事項が重要なのかを説明致します。

1,が強いようでは、デリケートな食材やソースには合わせ辛い。例えば、脂肪分の少ない食材やアミノ酸等の旨味成分の低い物、歯ごたえの少ない物。鳥肉や自身の魚、野菜やパスタが多い料理。ソースでは、ビネガーやベルモット、シェリーなどが用いられ、粘りのない味の弱い物等には全く不向き、逆にアタックが柔らかく、優しい物は、デリケートな食材にもよく合い、アルコールやコク次第では、脂肪の多い物や、旨味成分の高い物も良く合わせられます。


2,甘さは先程述べたように混合効果を想像してみてください。相性には酸との兼ね合いも忘れずに検討してください。


3,は少し経験を必要としますが、まず、ワインの中の酸が果実酸であるかどうかを見極めます。ここで人の味覚の約束事を頭に入れておいてください。果物のもっているいる酸は、冷やすと美味しい酸なのです。それとは逆に醸造や熟成において出来る酸は、ワイン温度では高い温度で美味しい酸なのです。したがって、リンゴのような酸(リンゴ酸)、柑橘類(クエン酸)のような酸、ビタミンC(アスコルビン酸)のような酸、もっともこのアスコルビン酸はブドウの中には、含まれておりませんが、ごく稀に添加されるものが有ります。


それと、ヨーグルトのような比較的柔らかでスムーズな酸(乳酸)は美味しさを作り出すのに温度も相性も違います。それと酸の切れ方も重要です。例えば後者は、歯ごたえのある素材にも味を大きく変化させませんから、マツタリとしたソースでも対比出来ます。逆に前者のようなタイプは、生ガキなどにはムスカデのような切れのいい冷やすと美味しい酸のワインがベストと言えます。


4,ワインのコクや時間の長さは、やはり食べ物の仕上がりの軽さや重さに比例します。どんなに味覚の塩梅がうまくいっても、官能の時間がずれていれば、物足りない物になります。いくらワインもまったりしているからといって、重たい料理に全て合うとは限りません。逆にくどくなることもあります。これは、あくまで筆者自身の経験上のデータなのですが、料理、ワインともに軽いものを1として最も重いものを10とします。筆者は、この二つの和が絶対に17を越えないように選びます。それと常にワインは、料理のマイナス2のレベルで選びます。こうすることによって常にワインが流れの良いもので楽しめます。


二つの和が16ぐらいまでは何とか同等でも飲めるのですがそれ以上は、最後に勉きたり、くどくなってしまいます。ワインの重さと官能時間はやはり重要です。


5,これは、味覚ではなく嗅覚から相性を判断する方法ですが、例えば、こんな場合でも結び付けます。


鱒のムニエルにボジョレーの赤。この二つには、共通の香りはどこにも見当たりませんが、実はとても良く合うのです。まず、料理の川魚のムニエルとは、フィルタージュ(掃除)された鱒の身をミルクにアンビバージュ(ひたす)します。10分ほどしたら、ミルクから取り出し、それを塩・コショウしファリネ(小麦粉)し、バターで表面が狐色になるまで中火で炒めます。このときにラム酒かトリプルセッタを大体一杯振りかけ、レモンを惑えてできあがりこの料理の味覚は、比較的柔らかでかむのに時間のかからない素材。乳分と脂肪と塩とコショウとレモンと微かな甘み。


ポジョレーは時として、バナナの香りがします。実を言うとこの相性は味覚のファクターより単に香りの相性だけで判断してみました。鱒は、よくバナナのと一緒にソテーされたりします。したがってバナナの香りのするポジョレーは香りだけは間違いなくうまく合う。後は、味覚。これも探ってみると全くどころかベストです。まず、香りの関連性から拾い出すのも一つのコツです。味覚が合っても香りが合わないと食事は、楽しくなりませんから。

6,同じ調理法や同じ味付けでも、素材・食材によっても随分違ったワインとの取り合わせになります。当然咀嚼の回数が多いとゆうことは、その分口の中の唾液とよく混じり合い、口の中での味覚も広がります。これによって、ワインも変化します。意外にも固さのある食材には、切れのあるワインが好ましく、柔らかくそれでいてマッタリとした食べ物には、やや粘性のある酸の穏やかなものが互いにぶつかりません。

 以上の事をマリアージュの6原則と呼ぶことにしましょう。さあこれで大半は、料理とワインが結婚できました。しかし、残りの2割はどうすれば結婚できるのでしょうか? 理由有りなだけです。複雑なのです。


実際に一口に料理と言いますが、素材が多くなればなるほどテーマがより創作的にもなり、異なった持ち味が一つの皿に乗ることが高級レストランでは、多々あります。こうなると本当の意味での料理とワインの掛け算は難しくなります。つまり、野菜が野菜の形で料理に一緒に入っていたり、香辛料や果物のソースや甘いもの辛いもの、香りも色々な芳香や、グリコーゲン質と乳酸質が一緒になっていたりするとワインは絞りづらくなります。これは、もうまったくトライ&エラーを繰り返し発見するしか有りません。それはまた探求する楽しみにもつながります。勿論ソムリエたちは、自分の築き上げたノウハウを多くもっています。彼らに相談されるのも一つの手でしょう。




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